先輩、俺を見てください
亜美は、申し訳なさや恥ずかしさで今にも泣き出してしまいそうなのを堪える。いつものように笑いたいが、うまく笑えない。

人の視線が痛い。このまま時間が止まってほしい。亜美は心からそう思った。

「先輩、大丈夫ですか?」

聞こえてきた優しい声に、亜美はゆっくりと顔を上げる。視界いっぱいに優馬の顔が映る。

「大丈夫だよ!」

亜美は慌てて笑顔を作り、言う。後輩に心配をかけるわけにはいかない。

優馬はため息をつき、「そうやって強がるからほっとけないんですよ」と言った。

次の瞬間、運動場から黄色い悲鳴が上がる。亜美はまた何が起こったのかわからなくなった。

優馬がゆっくりと歩き出して、初めて優馬に横抱きにされているのだと気づいた。

自覚すると、一気に恥ずかしさが込み上げてくる。

「ちょっ、ちょっと!優馬、私大丈夫だから!!生徒会あるし、下ろしてよ!」

「ダメです!怪我してるじゃないですか!」

亜美は顔を真っ赤にしながら、優馬に保健室に連れて行かれた。
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