仮眠室で囁いて
看護師として外科に配属されてきた彼女は俺に全く気がついてはいなかった。

学生時代からの恋人がいることはすぐに俺の耳にも入ってきたが、仕事上のパートナーであればいいそう思いながらも彼女を特別視している自分がいた。

「服部、もう少し優しく指導してやれよ。可哀想に怯えてるぞ」
他のドクターから苦笑いされながら注意されたが可愛すぎてどうにも加減ができない。

まるで好きなコをいじめる子供と一緒だ。

そんな俺を師長が笑いながらたしなめる。

「服部先生のお気に入りなのはわかりますがお前とかおいとか高橋って彼女だけ呼び捨てはどうかと。他の看護師にばさん"づけですよね?
まぁ本人が気がついてないからいいんですけどそんな態度とっていると嫌われますよ?
せっかく傷心で付け入れそうなんですから」

驚くほどショートカットにしてきた彼女は恋人と別れたんだとナースステーションで笑いながら話していた。



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