【短】隣のカノジョ
よくよく考えたって、やっぱりいない。……遥以外、いない。
もしかして俺、遥の存在に頼り切ってないか。
ぐるぐると考えれば考えるほど余計にわけがわからなくなってきて、俺は遥の午前の講義が終わるタイミングをめがけて電話をかけることにした。
『……っわ、びっくりした。どうかした?具合悪い?熱?』
電話に出た遥の第一声が、それ。
「お前、俺を何だと思ってんだよ」
『え、だって。夜以外に電話かかってくるなんて、よっぽど具合悪いのかと』
「んなわけねぇだろ。ピンピンしてるわ」
そんな俺の声を聞いた遥は、『なんだ』と笑った。続けて呟くように『よかった』と小さな声も聞こえた。
……あぁ、そういえば去年の冬に、熱にうなされて助けを求めるかのように遥に電話かけたっけ。
急に昔のことを思い出して、遥の今の発言に勝手に納得。
確かあのときこいつ、午後の大事な講義放って看病しに来てくれたんだ。んで、あとで大量にレポート書かされてたっけ。