【短】隣のカノジョ



今思うととても申し訳ないことをしたな。でも、あのとき遥が来てくれなかったらマジでやばかったと思う。




『で、どうかしたの?』


優しい遥の声が耳元で聞こえた。



「あー……いや。お前さ、次の日曜、ヒマ?」

『え?……まぁ、ヒマだけど』

「じゃあ出かけね?確か祭りやってんだろ。それ行こ」



半ば無理矢理行き先も決めて、約束をとりつけた俺の心の内は、少し緊張気味。



電話するのも出かけるのも、いつも俺から誘ってるくせに。何いまさら緊張とかしてんだろう。




『午後から講義なら、直接言えばいいのに。わざわざ電話なんて変なの』

「バカ。大学の広さ舐めんなよ。会えないかもしんねぇじゃん」

『まぁ、それは確かに』



クスクスと笑う遥の声を聞くのが、なんだかすごく心地いい。



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