【短】隣のカノジョ
「ま、せいぜい悩め」
ポン、と俺の肩を叩くと、雄大は離れていった。
……言われなくたって、めっちゃ悩んでるっつの。
まだ数時間も経ってないのにこんなに悩んでるなんて、もしかした人生初めてのことかもしれない。それくらいのレベルで、今俺の頭は遥のことしか考えていなかった。
午後から参加の授業だって、聞いていたのか聞いていないのか。どうしてたんだろう、俺。
ノートはしっかり取っていたみたいだけど、内容はところどころ記憶がない。
「くっそー……」
こんなに俺を悩ませてどうしたいんだよ、あのバカ。
そんな悪態をついたって、考えてみれば遥は悪くないし、俺は責めることができるような立場ですらないんだけど。