【短】隣のカノジョ
「……正直、真子に言われるまで夢にも思わなかった。けど俺、すっげー考えたんだ。考えて、考えて。考えれば考えるほど、遥と出会ったこの2年、俺はずっとお前だけだった」
「……っ、なにそれ。嘘だ。彼女いたじゃない」
「たしかに彼女はいた。けど彼女と遥とで予定が被ったとき、俺、彼女との約束断ってたんだ」
今思えば、なんであんなことしてたんだろうと思う。
彼女を優先するはずのところを、俺はいつも遥を優先してた。なにも深く考えることをせずに、当たり前のように遥を。
「……最低男」
「なんとでも言え」
歴代彼女達にも言われたよ、最低って。
けど、あのときの俺は迷う余地もなく遥だったんだ。仕方ないだろ。
「ここ最近だって、メッセージやり取りするのも、電話するのも、出かけるのも、よく考えたら遥だけ」
どうしてくれんだよ、と言うと、遥は少しだけ顔を上げた。