【短】隣のカノジョ
「なにそれ。私のせい?」
「そーだ。お前のせい。この1週間だって、俺お前のばっか考えて授業もろくに聞いてないんだぞ」
もう一回、どうしてくれんだよ、と言った。
すると遥の目が、やっと俺を捉える。少し揺れているその瞳で、ぎこちなく笑った。
「やばい、泣きそう」
「……もう泣いてんじゃねーか」
「あはは。だね」
こんなところで泣かせて、はたから見たら俺が泣かせてるって思われるな。
俺たちは、……恋人に見られてるんだろうか。今まで2人で出かけてたときも、そんな目を誰かから向けられてたんだろうか。
2年も想ってくれて、散々辛い想いもさせたであろう俺が言えた立場じゃないのかもしれないけど。
「遥、好きだよ」
俺はもう、お前を良い女友達とは見られない。