きみが泣いたら、愛してあげる。
07.コンビニアイスをきみと
07.コンビニアイスをきみと
○居酒屋の外・夜
圭「…酔った。外の空気吸いに行こ」
杏花「え…」
興奮しているみんなをおいて、圭に連れられて外に出る杏花。
杏花「酔うのになんで飲んだの」
圭「酔ってねーよ、嘘だよ」
杏花「嘘…」
圭「杏花さんだって忙しいって嘘ついたでしょ」
イタズラっぽい顔で覗き込まれて、うっ、と言葉に詰まる。
圭「杏花さんがまた酔って寝ちゃって、他の男に持ち帰られたら嫌だからね」
杏花「そ、そんなに飲まないよ…」
圭「…合コン来てるってことは彼氏欲しいんだ?」
杏花「別に…人足りなくなったって頼まれたから来ただけ」
圭「ふーん、じゃあ抜けようよ」
杏花「え……ていうか、圭くんはなんで来たの?」
圭「杏花さんが合コン来るって聞いたから。頼んで入れてもらった」
杏花「っ…」
圭「俺は杏花さんに会いたくて来た、杏花さんは頼まれたから来ただけ。2人で抜けたほうが楽しくない?」
杏花(そうかも、って、思ってしまった自分がいた。)
じゃあ帰ります!とみんなに声を掛けてから、荷物をまとめて出てくる2人。
○夜の道・コンビニの前
圭「酔い覚ましにアイス食べようよ」
杏花「いいよ」
2人でコンビニのソーダバーを食べながら、人気のない道を歩く。
杏花(こういうのなんかいいなって、思っちゃう…)
圭「杏花さん、俺のこと避けてたでしょ」
杏花「う…」
圭「ごめん、しつこかった?」
杏花「…ち、がう」
うつむいて、頬を赤くする杏花。
恥ずかしそうに小さな声でつぶやく。
杏花「これ以上一緒にいると…ドキドキ、しちゃうから」
驚いたように目を見開く圭。それから頬を赤くする。
圭「っ……なに、急に。反則でしょ…」
赤くなった顔を隠すようにつぶやいて照れる圭。その顔に少し可愛いと思ってしまう杏花。
ぎゅ、と握られた杏花の手。驚いて顔を上げると、少し照れた圭と目が合う。
そっと握り返すと、もう一度ぎゅう、と力を込められる。ドキドキしてしまう杏花。
圭「杏花さん、もう俺のこと好きでしょ」
真剣な瞳に見つめられ、目が離せなくなる杏花。
杏花「そ、そんなわけ…」
圭「……可愛い」
慌てて必死に目をそらすけれど、顔を近づけて、ふっと笑う圭。
そこにたまたま通りかかった大輔。2人は気づいていない。
大輔「杏花……」