後輩はレンタル彼氏

取引先の『Mamma Allegra』でオーナーの佐伯に頭を下げる。

奈帆「本当に申し訳ありませんでした」

佐伯「明日の大切なお客様のために仕込みをしておきたくてね。それも間に合いそうだから大丈夫」

 もう一度、深々と頭を下げる。

奈帆「申し訳ありません。次回からこのようなことがないように気をつけます」

佐伯「うちも無理を聞いてもらったし、それに、いつも藤野さんには頑張ってもらっているから」

 温かい言葉を向けてくれる佐伯に涙がこぼれそうになるのを堪えて、より深く頭を下げる。

奈帆「ありがとうございます」

 佐伯は奈帆と一緒に頭を下げる津雲にも声をかける。

佐伯「津雲くんにも期待してるよ」

津雲「は、はいっ! 今後も四つ葉食品をよろしくお願いいたします」


社用車へ戻り、車を走らせる。

奈帆「ありがとう。津雲くんのおかげで助かった」

奈帆(運転をしてくれて助かったし、何より津雲くんが側にいてくれて気持ちが落ち着いた)

津雲「いいえ。藤野先輩の日頃の頑張りの賜物です。俺、藤野先輩の下でよかったって何度思ったか」

奈帆「津雲くん……」

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