後輩はレンタル彼氏
手を繋ぎ、ほとんど言葉を交わすことなくカフェへ。
席に着くと奈帆を見つめるリョウ。
まっすぐに見つめる瞳はとろけそうな甘さが漂う。
リョウ「奈帆、かわいい」
津雲からの『かわいい』も『好き』も言われ慣れているのに、今日は落ち着かない。
奈帆「ま、待って。津雲くん、だよね?」
彼から目をそらし、両手のひらを彼へ向け、必死で待ってのポーズをとる。
奈帆(津雲くん、なんだか雰囲気が違う。いつもはわんこ系なのに、今日は……。)
不意に、髪に手が触れてひとすじつかまれる。
思わず彼を見ると目があって、その妖艶な瞳から目が離せない。
彼はつかんだひとすじの髪に唇を寄せながら、ゆっくりと瞳を閉じた。
絵画の美しい風景に見入るようにぼんやり眺めていると、髪からそっと手が離され、その髪が自分へと戻ってくる。
戻った髪が頬に触れ、彼に直接触れられたわけではないのに顔が熱くなって、慌てて両手で髪をつかんで顔を覆う。
リョウ「俺はリョウだよ」