ふりむいて、好きって言って。(仮/旧:三神くんは恋をする)
Prolog
小さい頃からよく、「未琴ちゃんはしっかり者ね」と言われた。


班リーダー、学級委員、生徒会。


確かにそういう役回りが多かったし、気づいたら委員長になっていた、なんて言う話もよくあった。


中学3年生の夏、先生に頼まれた仕事をこなす私の横で、ある友達が不満げに言った。


「未琴は他人の人生を生きてるみたいだ」


……確かに。


“誰かにやってもらわないと終わらないのよ。よかった羽瀬さんがいて”


その誰かは私じゃなくてもいいわけで。


“おい羽瀬、これ佐藤の代わりにやっといて”


私は佐藤くんではないわけで。


ごめんなさい、私に“誰か”を期待した皆さん。


私は“誰か”を辞めさせてもらいます。


そう決意したにも関わらず


「先生、羽瀬さん中学の時生徒会長だったって。去年も確か委員会やってたよね」


そんな情報どこから漏れたのやら。


神様、人生は不公平です。
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