100年後も、君の代わりになんてなれない
「転生のことについての話ではありません。人の話を最後まで聞いて下さい。もっとも、私は人ではありませんが」
あははと声を出して笑ってしまった。色んな天使がいるけれど、こいつは面白い。
「ご家族は特に変わりありません。徐々に落ち着いてこられました」
「ああ、よかった……」
「それと、とあるお友達が、夢に向かって頑張っていらっしゃるようです」
「え⁉ 希衣のこと⁉」
あたしは身を乗り出して、宙に浮く天使を見つめた。それと同時に、天使は少し眉間にしわを寄せ、あたしが近づいた分離れる。
そんなにあからさまに嫌がんないでよ、傷つくなあ。
「そうです。では私はこれで」
「あーちょっと待ちなさーい」
ひょいっとジャンプして、去ろうとする天使の腕を掴む。
掴んでいる感覚はほとんどないが、小さくて細いから、これは下手をすれば折れるなと思った。
まあ、天国で怪我なんてできないと思うけど。