100年後も、君の代わりになんてなれない
「え、嫌なんだけど」
聞こえていないとわかっていたからそう言ってしまったのか、あるいは聞こえていたとしても言ったのか。
どちらにしろ、おそらくこれは本心だ。
「あたしが通らなかった賞で賞とるとか……え、無理絶対いや! 悔しすぎて死ぬに死ねないんだけど! 死んでるけどさ⁉」
あたしがそう言っている間に、希衣はカタカタとキーボードを叩く。
真剣そうな顔を見て、なんだか悔しくて。
そして、書けることが羨ましかった。
あたしは、もう二度と書けない。
作家になることなんて百パーセントできない。
だって死んでいるのだから。
生きていれば、どんな人でも、どんなに厳しい夢でも、叶えられる確率はゼロじゃない。
でもあたしはゼロだ。
誰よりも小説家になりたかったのに。