100年後も、君の代わりになんてなれない

 それに、あたしの代わりとか言っている彼女に腹が立った。

あたしは一人しかいない。

あたしが叶えたかった夢は、あたしが叶えないと意味がない。

ましてや、その夢を他人に取られるなんて、悔しくてどうにかなりそうだ。


「ああもう、気分悪い。帰ろ」


 今のところ、空を飛べそうにない。

すり抜けるのも怖く、わざわざ空を探すのも面倒なので、あたしは天井を見上げて言った。


「おーい、天使ー。ちょっと早すぎるけど、もう帰りたいわー」


 ズキンと、こめかみより少し上のところが痛んだ。

やはり、あたしはもう地上にいることのできる身ではないのかもしれない。


 すると、空から声が降ってきた。


「あれほど忠告したのに、もう忘れてしまったんですね」


 思わず「え?」と聞き返した。頭が痛くて、脳みそが働かない。


「ご自分の姿を、鏡でご覧になってください」


 頭を押さえながら、鏡の前へ移動する。

そこには、透けているあたしがいた。

ただ、いつもと違う。ズキズキと痛む場所に、恐る恐る手を触れた。


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