100年後も、君の代わりになんてなれない

 とっさに本の世界へ逃げてしまった。何も見なかったふりをして、必死に文字を顔に近づける。

 いけないものを見てしまったかのように、なぜか心臓が激しく脈を打って、ひらがなですら読めなくなった。視界の端に映る優ちゃんは、両手でごそごそと目を擦っていたと思う。


 まだ、わけのわからない焦りが続く中、優ちゃんが私の本をつかんだ。


「ねえ……すっごい」


 目の前にいる優ちゃんは、目を真っ赤にしてそう言った。


輝き、潤う瞳。何か伝えたいことがあるのに、言葉が見つからないといったような口角の上がり方。普段ならあり得ないほどの強さで本を握る手。


それらを見る限り、彼女は全身で興奮を露(あらわ)にしているのがわかった。


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