100年後も、君の代わりになんてなれない
いくらバイトを掛け持ちして稼いでいても、この家にいる以上、すねかじりも同然だ。
安定した職もなく、結婚の予定もない。
特別親しかった友達は、十年も前に亡くなってしまった。
そんな私に、今まで何も言わずに見守ってきてくれたこと自体がおかしかったのだ。
だから私は、今日、何を言われても、受け入れなければならないのかもしれない。
「希衣、今、小説どんな感じなの?」
「え?」
「コンテストの感じとか……。デビューできそうなの?」
その言葉は、私に重くのしかかった。
ずっと聞きたかったことを、もう少し、もう少しだけ待ってあげよう、と思っていたであろう母の気持ちを考えると、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいになる。