100年後も、君の代わりになんてなれない

 私は何も答えられなかった。

理由は簡単なことだ。

小説を書き始めて十年。様々なコンテストに応募してきた。

ことごとく落ち続け、ようやく四次選考まで上り詰めたと思ったら、また落ちて。

その中でも拾ってもらえないだろうかと期待したのに、そんな話は一切やってこなかった。

そしてまた、書いて応募してを繰り返す。四次選考までいったことなんて嘘のように一次で落とされる。

そうやって何も結果を残せないまま、ここまで来たのだから。


 何も言えない私に、母はわかっていたと言わんばかりに、深いため息をついた。

「希衣、そろそろ腹をくくりなさい。あなたもう二十七よ? 
希衣も何か考えがあるんだろうと思って、お父さんもお母さんも口出ししてこなかったけど。
そもそもそれは、あなたの夢じゃないんでしょう? いい加減、自立して私たちを安心させてちょうだい」

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