100年後も、君の代わりになんてなれない

 母の言うことはすべて正しかった。

私は、もっと早くに現実を見るべきだったのかもしれない。なのに私は、ただ優ちゃんの夢を叶えたくて。それ一心で……。


「……一年よ。あと一年以内にデビューできなければ、小説家になることはあきらめて、ちゃんとしたところに就職しなさい。お願い、お母さんと約束して」


 こんなにも真剣な表情を初めて見た。

私より背の低い母は、両手で私の手を包み込み、下から見上げてくる。私は、どうしてもその手を振り払うことげできなかった。

「……わかった」

 母にしか聞こえないほど小さな声でつぶやく。

ただ、心の奥底から、暗闇に包まれた小さな声が聞こえた気がして、目線だけは合わせることができなかった。

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