100年後も、君の代わりになんてなれない
母は私が了承したと認識し、部屋から出て行った。
私は再び椅子に腰かけ、机の上にある暗くなった画面を見つめる。
そこに映るのは、十年前と何ら変わりない自分だった。
なにかに疲れてしまった。
でも私は書かなければならないと。優ちゃんの夢を叶えることが私の務めだと。そう考えて努力してきた。
大学に進学することなく、バイトをして書いて応募して。
今まで優ちゃんの話をざっくり聞くことしかしてこなかった私が、自らストーリーを考え、文章で表した。
思い描いたことを正確に伝えることがなかなか難しくて、上手く書けない自分が嫌になる時もあった。
ストーリーの原案から描写、構成、セリフも自分一人で考え、尚且つ読者に伝わるように書かなければならない。
文庫本一冊は約十万文字。
それを書いて書いて書いて、完結できることは並々の努力ではできないことなんだ、優ちゃんは本当にすごかったんだ、ということを改めて思い知らされた。