100年後も、君の代わりになんてなれない
「優ちゃん……ごめんね。優ちゃんの夢、代わりに叶えるって決めたのに。私、もう、叶えられないかもしれない」
視界がぼやける。真っ黒な画面に映る私は消えてしまった。
目頭が熱くなって、生温かい雫が頬を伝う。
「はあ⁉ バッカじゃないの⁉」
誰もいないはずの部屋にそんな声が響き渡った。
背後から降りかったそれを知るため、私は勢いよく顔をそちらに向ける。
するとそこには、あの日の朝と何も変わらない優ちゃんが立っていた。
紺色の制服に、赤い紐状のリボン。
丸襟に、耳の後ろで結ばれた二つの髪。
少し透けていて、角があること以外は、私が知っている優ちゃんそのものだった。
「ゆ、優ちゃん?」
「あんた、ほんとバカなの⁉ 何があたしの代わりよ。全然うれしくない!」
その言葉には、何か強い力がこもっているようで、強風に吹かれたように私は椅子から落ちてしまった。