100年後も、君の代わりになんてなれない

 優ちゃんの言いたいことがよくわからなかった。

正直になれって? 私は今も昔も正直だよ。


「わ、私は何も嘘なんてついてない。優ちゃんの代わりに夢を叶えること、それが私の夢なの」

「ほら、嘘じゃん」

 以前は、私よりも背の高かった優ちゃんが、私を少し見上げて指をさしてきた。

キリッと睨んでいるかのように思えるその表情は、いつも相手に真剣にぶつかるときの顔だ。



「希衣は、自分の心に嘘をついてるよ。
初めはあたしも、希衣はあたしの代わりに小説家になろうとしているんだと思ってた。
でも、本当は違うでしょ? 
誰かの代わりに叶えようとする夢なんて、普通は十年も追いかけられないんだよ。
いちいち言葉の意味を調べて覚えようなんて、そんな面倒臭いことしないんだよ。
わざわざ本を読み漁って、分析したりなんか、しないんだよ……」


 優ちゃんの声は震えていた。

潤んだ瞳を、ぐっと耐えるように唇をかみしめ、鼻をすする。

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