100年後も、君の代わりになんてなれない


 ピンポンと軽快な電子音が響き、我に返る。


 そういえば、そろそろ届くころだった。


一年ほど前に書きなぐった原案のファイルを優しく閉じて、玄関へと向かう。

扉を開けると、段ボールを持った配達員さんが、汗を流しながら立っていた。

印鑑を押して荷物を受け取る。ずしりとした重さに、思わず笑みがこぼれた。

部屋に戻り、早速ガムテープをはがす。


そこに入っていたのは、何冊もの同じ表紙をした本。

表紙の中央に、ショートカットの女の子が微笑みながら涙を流していた。

その腕には、たくさんの原稿用紙が大切そうに抱かれている。

背景は、大きな本棚にびっしりと本が敷き詰められているものだった。

太いもの、細いもの、大きいもの、小さいものなど様々だ。

窓はないものの、ハイライトの具合や光の当たり方から夕日がさしているのがわかる。


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