100年後も、君の代わりになんてなれない

「……久しぶり。最近来ることができなくてごめんね」


 話したいことが多すぎて、何から話せばいいのかまとまらない。

自分でも興奮しているのがわかる。一旦深呼吸をして、胸の前に手を合わせた。


「夢、叶ったよ。念願の賞を取って、デビューできたよ。あたしと、希衣の物語で」


 壁の写真を見渡す。そこには、気の優しいショートカットの希衣が、笑ったり泣いたり、真剣そうな表情で写っていた。






 あの日事故で亡くなったのは、あたしではなく希衣だ。



< 44 / 53 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop