100年後も、君の代わりになんてなれない
「……久しぶり。最近来ることができなくてごめんね」
話したいことが多すぎて、何から話せばいいのかまとまらない。
自分でも興奮しているのがわかる。一旦深呼吸をして、胸の前に手を合わせた。
「夢、叶ったよ。念願の賞を取って、デビューできたよ。あたしと、希衣の物語で」
壁の写真を見渡す。そこには、気の優しいショートカットの希衣が、笑ったり泣いたり、真剣そうな表情で写っていた。
あの日事故で亡くなったのは、あたしではなく希衣だ。