100年後も、君の代わりになんてなれない


 ここまでがセットで、月に一度は話していた。よく飽きなかったと思う。いや、優ちゃんの場合、何度も言葉にすることによって、自分に訴えかけていたのかもしれない。


「まあつまり、本を出すまでは絶対に死なないし、死んでも死にきれない!」


 優ちゃんはそう言って、たくさんの賞に応募していた。

一向に引っ掛かりもしなかったけど、それでも優ちゃんはあきらめなかった。未熟なものが世に出なくてよかったとまで言っていた。

どれも私からしたら、すばらしい作品ばかりだったし、どうして賞が取れないのか不思議なくらいだった。

それくらい、作家になれるのは一握りだということを、優ちゃんはすでに承知していたのだろう。


「希衣、ライバルになってほしくないから、作家にならないでよ~? 希衣が敵になったら、簡単にやられちゃう気がするもんー」


 私が優ちゃんのライバルになんて、なりたくてもなれるわけない。なのに、彼女はそう言って笑っていた。

< 7 / 53 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop