100年後も、君の代わりになんてなれない
ここまでがセットで、月に一度は話していた。よく飽きなかったと思う。いや、優ちゃんの場合、何度も言葉にすることによって、自分に訴えかけていたのかもしれない。
「まあつまり、本を出すまでは絶対に死なないし、死んでも死にきれない!」
優ちゃんはそう言って、たくさんの賞に応募していた。
一向に引っ掛かりもしなかったけど、それでも優ちゃんはあきらめなかった。未熟なものが世に出なくてよかったとまで言っていた。
どれも私からしたら、すばらしい作品ばかりだったし、どうして賞が取れないのか不思議なくらいだった。
それくらい、作家になれるのは一握りだということを、優ちゃんはすでに承知していたのだろう。
「希衣、ライバルになってほしくないから、作家にならないでよ~? 希衣が敵になったら、簡単にやられちゃう気がするもんー」
私が優ちゃんのライバルになんて、なりたくてもなれるわけない。なのに、彼女はそう言って笑っていた。