友達イジメ
「あたし達も行こう」


サチがそう言い、大きくドアを開いた。


ガラガラとひき戸の音が響いて生徒達の視線がこちらへ集まる。


しかし、サチは躊躇することなくコトネへ向かって足を進めた。


「こんにちは、コトネさん」


突然現れたサチにコトネは瞬きを繰り返している。


後ろからついてきたあたしを見つけて「あ」と、小さく声を出したのがわかった。


さすがに、あたしの顔は覚えていたみたいだ。


「先輩、なにか用事ですか? 今からちょっとしたクラス会議なんですけど」


おさげ髪に黒メガネをかけた女子生徒がそう声をかけてきた。


典型的な学級委員タイプの子だ。


「クラス会議?」


「そうです。国林さんがクラスメートのお金を盗んだんです」


「あたしはなにもしてない!」


学級委員の言葉を慌てて否定するコトネ。


「盗まれたのはあたしです」


そう言って手を上げたのは、4人の内の1人だった。


なるほど、罪をでっちあげたのだろう。


だからコトネはちょっと話しかけられただけで青ざめていたのだ。
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