友達イジメ
2年A組の教室へ入っても、サチの姿はどこにもなかった。


「サチ、本当に一旦家に戻ったんだね」


スズが呆れてそう言った。


「スマホで調べてみたら宝くじの発表って昨日だったよ。今頃当選してるかどうか調べてるんじゃないかな?」


そう言うと、スズは目を細めて大きく息を吐きだした。


なんだか緊張しているように見えて、首を傾げる。


「どうしてスズが緊張してるの?」


「だって、これでサチに大金が入ったら、あたしの願いだって……」


そこまで言ってあたしを見つめるスズ。


今度はスズの番ってことだ。


「もちろん。あたしたちだけ満足して終わる気はないよ」


でも、問題は誰をイジメるかだった。
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