友達イジメ
「当たったの! あたしが買った……」


そこまで言ってサチは鞄から宝くじを取り出し、あたしの机の上に置いた。


その横に当選番号が表示されたスマホを置く。


「あ、本当だ……!」


よく確認してみると、2等の5千万円が当選しているのだ。


1等1億円には届かなかったみたいだけれど、十分大金だった。


「すごいじゃんサチ!」


スズは興奮気味にそう言い、サチの肩をバンバン叩いている。


でも、学校に当選くじを持ってくるのは得策じゃなかった。


こんなのいつ奪われてもおかしくない。


そう言おうとした時、前方のドアから女性が顔を覗かせているのが見えた。


何度か会った事がある、サチの母親だ。


「これから銀行へ行くの」


「これから?」


驚いてそう聞くと、サチはうんうんと何度も頷いた。


だから母親が一緒に来ていたようだ。


「だけど、先に2人に見せたかったの。あの噂は本物だって」


サチはそう言い、ホームルームが始まる前に教室を出たのだった。
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