友達イジメ
それからスズはマキが教室を出ている時間を見計らい、机に落書きをしたり体操着をゴミ箱に捨てたりした。


マキは1人で慌てていたり困っていたりしているけれど、周囲に相談する様子は見せなかった。


元々マキと仲がいい子がいないから、相談したくてもできないのかもしれない。


スズも誰にも見られないそうにコソコソと動いているから、何をしているのかバレていないようだった。


「ねぇ、どうせ記憶が消えるんだからもっと堂々とイジメたら?」


昼休憩中、3人で中庭でお弁当を食べながらあたしはそう言った。


「え、でも……」


スズは乗り気じゃないみたいだ。


「大丈夫だって、あたしたちはあれだけ派手にイジメたのに、バレてないんだよ?」


「そうだけど……どんなことでも、落とし穴ってあると思うんだけど」


「落とし穴?」


あたしはスズに聞き返した。
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