友達イジメ
それなら、あたしが知らなかっただけで、有名な廃墟なのかもしれない。


「入って」


スズはそう言い、マキを先に行かせた。


なにか言いたそうに一旦口を開いたマキだったけれど、すぐに諦めたようで、窓枠に足をかけて洋館へと入って行く。


あたしたちも、すぐにその後に続いた。


中は思っていたよりも綺麗な状態だった。


色んな人たちが出入りしているせいか、ホコリが少ない。


けれど、壁にはスプレーで沢山落書きをされているし、タバコのカスがあちこちに捨ててある。


「マキ、こっち」


スズが1つの部屋に入り、マキを手招きした。


一緒に入って行くと、そこは寝室であることがわかった。


広い部屋の中央にダブルベッドが置かれている。


そのベッドは長く使われていないらしく、あちこちからバネが飛び出し、枕からは綿がはみ出していた。
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