友達イジメ
スズはそんな部屋の隅でこちらに背中を向けている。


なにをしてるんだろうか?


そう思った時だった。


スズが振り向くと同時に、手に持っているスプーンが光った。


自分で持参していたようで、真新しいものに見えた。


「この部屋は夫婦の寝室だったみたい。だけど、2人は上手く行っていなかった」


スズは説明しながら、ゆっくりとマキに近づいて行く。


その雰囲気に圧倒されるように、マキは後ずさりをした。


咄嗟に、あたしは寝室のドアを閉めてその前に立ちはだかった。


マキの顔が青ざめる。


「家庭が火の車になって一家で逃げ出したっていうのは、大人たちが真実を隠すためのデマを流したとも言われているの」


マキの目の前まで移動して来て、スズがスプーンを前がんに突き出した。


恐怖に歪んだマキの顔が、スプーンの背に写っている。


「じゃあ、本当はこの家でなにがあったの?」


サチがそう聞くと、スズはニタリとした笑みを浮かべた。
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