友達イジメ
グッとマキに身を近づけて「父親からの、拷問」と答えた。


瞬間、背筋がスッと寒くなった。


スズは本当のことを言っているんだろうか？


それとも、マキを脅かすための嘘だろうか？


「ここのベッドはよく使われた」


スズはそう言ってダブルベッドを指さした。


「毎夜家族を１人このベッドに縛り付けて、その家族に拷問を加える。歯を引き抜いたり、髪の毛を引きちぎったりね。そんなベッドで夫婦は寝てたの」


マキの視線がベッドへと注がれている。


「奥さんの方は嫌だったろうけどね。自分もここで拷問されていたし。でも、逆らう事はできなかった。やがて父親の行動はエスカレートして行って……とうとう家族を１人、殺してしまった。一家は庭に死んだ家族の死体を埋めて逃げ出した」


「それが、ここが空家になった本当の理由？」


サチが訊ねると、スズは首を傾げて「さぁ、真実はどこにあるのか誰も知らない。


だけど、長年この建物が取り壊されない理由は、家に入った人間はみんな呪い殺されてしまうからだって言われてる」と、答えた。

< 176 / 290 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop