友達イジメ
その瞬間、この話がでっち上げだと気が付いた。


家に入った人間が呪い殺されてしまうなら、ここまで沢山の人が侵入するとは思えない。


本物のヤバイ廃墟には、誰も寄り付かないはずだった。


スズはマキを怖がらせるために嘘をついているのだ。


あたしはゴクリと唾を飲んでスズを見つめた。


ストーリーを考えるのも得意なら、演技をすることも得意みたいだ。


少しスズのことを甘く見ていたかもしれない。


「どうして……そんな場所に……?」


「試てみたいことがあったから」


マキの質問にスズはそう言った。


「この部屋で同じように拷問すると、殺された家族が出て来るんだって」


「そ、そんなの嘘に決まってるじゃん」


そう言いながらも、マキの声は震えている。


「嘘か本当か知るために……」


スズがスプーンを強く握りしめた。


「お前をここに呼んだんだよ!」


そう叫んだ次の瞬間、スプーンがマキへ向けて振り下ろされていた。


マキは咄嗟に身をよける。


しかし、一歩遅かった。
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