友達イジメ
☆☆☆

あたしたちがやってきたのはひと気のない廊下の端だった。


食堂からも教室からも離れていて、みんなの声も遠くから聞こえて来る。


「な、なにをする気!?」


そう言うリカコの声は恐怖に震えている。


深爪をした指先すべてに絆創膏が貼られていて、生活しにくそうな状態になっていた。


「ご飯を一緒に食べようって言ったじゃん」


あたしは笑顔でそう答えた。


「ご飯って……あなたたちはお弁当でしょ?」


「そうだよ~? まずはリカコにお腹いっぱいになってもらおうと思ってさ」


スズがそう言い、ポケットの中から小さなプラスチックケースを取り出した。


その中には生きたゴキブリが一匹入っている。


食堂へ来るまでに見つけて、スズとサチに捕獲させたのだ。


あたしは見たくもなかった。
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