友達イジメ
カオリさんがあたしたちの名前までちゃんと消してくれていれば、こんなことにはならなかったのに。


「そのヨシキってヤツの家はどこだ?」


そう聞かれて、あたしは予め調べて置いた情報を秋口たち3人に渡した。


ヨシキの家は学校から歩いて30分くらいの場所にある。


秋口たちはバイク移動だから、すぐだ。


「どうやって家の中に入るの?」


サチがそう聞くと、秋口はあたしを見て笑った。


「なにも話してないのか」


「別に、話す必要なんてないかと思って」


秋口たち3人は空き巣を繰り返していて、危険な人たちの中ではちょっとした有名人だった。


あたしと秋口たち3人が出会ったのは、なんと3人があたしの家に入ろうとしていたところを偶然見かけたからだった。


普通なら警察に通報するところだけれど、あたしは3人に興味を持った。


知らない世界で生きている3人の事をもっと知りたいを思ったのだ。


そこで、見逃す変わりに自分に何かあったら手伝ってほしいと伝えたのだ。


秋口たちからしてもあたしのことが珍しかったようで、すぐに仲良くなれた。


そんな奇妙な関係が、こんなころで役立つなんて思ってもいなかった。


「心配しないで大丈夫だよ」


あたしは誤魔化すようにそう言ってほほ笑んだのだった。
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