友達イジメ
「どうでもいいから。早くそのパンツも脱いでよ」


あたしがキャラクターパンツを指さした、その時だった。


不意にヨシキが立ち上がり、なにもない空間を見つめて歩き出したのだ。


「ヨシキ?」


声をかけても反応がない。


フラフラと、なにかに誘われるように歩くヨシキ。


この光景は何度も見て来た。


あのウサギ小屋が見えた人間と同じ行動だった。


でも、どうして急に見えたんだろう。


ヨシキをここへ呼んだ時にはまだ見えていなかったのに。


「リカコの話が随分とショックだったみたいだね」


スズがあたしの隣に立ってそう言った。


「そうなのかな? それで自殺したいって思う?」


あたしにはよくわからなくて、首を傾げた。


「ヨシキにとってリカコは唯一の人だったんだよ。その人が死んでしまったから、生きる意味が失われたのかも」


スズからの説明を聞いても、やっぱりピンと来なかった。
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