友達イジメ
「ほら、出なよ。みんなにも聞こえるようにスピーカーにしてね」


「そんなことできるワケないでしょ? 仕事なんだよ!?」


「だからこそでしょ? あたしたちはスズの本当のことが知りたいの。スズが潔白だってわかれば、ちゃんと作品を楽しんで読むことができる」


サチの言葉に思わず笑ってしまいそうになった。


サチは誰が書いた小説だろうと読まない。


活字が死ぬほど苦手なのだと、以前言っていた。


「こんな時間に電話してくるってことは、相当急いでるんじゃない?」


今はまだ7時台だ。


学生作家のスズに電話をする時間じゃないことは、担当さんだって理解しているはずだった。


「それはそうだけど……」


そうこうしている間にも、電話は鳴り続けている。


相手はかなり焦っているのかもしれない。


スズもその事に気が付き始めたのは、諦めたように電話にでた。
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