友達イジメ
サチはそう言い、スズの腕を引っ張ってウサギ小屋の辺りまで移動する。


「あ……あぁっ……!」


途端にスズは青ざめて目を見開いた。


何もない空間を見つめてイヤイヤと左右に首を振っている。


明らかにウサキ小屋が見えている様子だ。


あたしとサチは目を見交わせて笑った。


これでサチの願いは叶うはずだ。


「やだ……あたしは死にたくなんか……」


そう言いながらもスズの顔からスッと表情が消えて行く。


それはすべてに絶望し、目の前の死しか見えていない人間の顔だった。


今までここで何人も見て来たから、すぐにわかった。


スズは引き寄せられるように小屋の中へ入り、見えないロープに手を伸ばす。


「思った以上に弱いよね、あたしたちの友達」


サチが、ロープに吊るされたスズを眺めながらそう言った。


「そうだねぇ。一番あっけなかったんじゃない?」


スズがあたしとサチへ向けて手を伸ばす。


しかし、あたしたちは笑みを浮かべてその光景を見つめていた。


苦しくて意識もなくなってしまいそうな中、スズは大粒の涙をこぼし、そしてあたしたちへ向けていた手をダラリと垂らしたのだった。
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