友達イジメ
☆☆☆

あたしに情報提供してくれた生徒は能勢ケイコという名前だった。


ケイコは随分前から、サチからあたしたちの悪口を聞かされていると言っていた。


「おはようアキコ」


サチが教室へ入って来た瞬間、クラス内は水を売ったように静かになった。


みんなサチへ視線を向けているが、返事をする子は誰もいない。


「ねぇ……なに?」


妙な視線に気が付いてサチが眉間にシワを寄せる。


「アキコ、みんなどうしちゃったの?」


そう言いながら近づいて来たので、あたしはサチを睨み付けた。


「気安く名前を呼ばないでくれる?」


「え?」


サチはあたしの机の手前で立ちどまり、瞬きを繰り返している。


「あんた、あたしとスズの悪口を言ってたんだってね?」


「なに? なんのこと?」


サチが首を傾げてそう聞いてくる。


しらばっくれたって無駄だ。
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