友達イジメ
死んだヨシキみたいに、なにもしていない他人に危害を加える人間はいくらでもいる。


一見真面目に見えても、信用しちゃいけない。


緊張しながらもどうにか階段を下りて行き、ホッと息を吐きだした。


今回は変な男はいなかったみたいだ。


「でも、一応両親には話しといた方がいいよね。危ないし」


そう呟いた時だった。


不意に目の前の歩道を塞ぐように黒いワンボックスカーが止まった。


歩道を塞がれたあたしは思わず立ち止まり、その車を呆然として眺めていた。


こんな所に車を止めて一体なんだろう?


その時だった。


不意に後部座席のドアが開いて1人の男が現れた。


男は躊躇することなく、あたしの腕を掴み、車の中へと引き込もうとする。


「いっ……いやっ!」


突然のことでまともな悲鳴を上げることもできなかった。
< 273 / 290 >

この作品をシェア

pagetop