友達イジメ
「あ、あたし、本当に用事があって……!」


そう言って逃げようとするリカコの前に立ちはだかった。


今までよりも更に強烈にイジメてやれば、ウサギ小屋が見えるかもしれないんだ。


それなら、やってみるしかない。


あたしはリカコの前髪を鷲掴みにし、力任せに横倒しにしてやった。


地面に尻餅をつくリカコ。


すかさず、その上に体重をかけて自由を奪った。


「なにするの!?」


「スズ、口を塞いで!」


スズがすぐに両手を伸ばし、リカコの口を塞ぐ。


リカコが涙目になり、あたしの下でもがいている。


それは小さな蟻を痛めつけるのと同じ感覚だった。


蟻が人間に変わっただけで、あたしの気持ちに変化なんてなかった。


子供の頃蟻を殺したように、目の前の人間を殺すだけだった。

< 35 / 290 >

この作品をシェア

pagetop