友達イジメ
「リカコはまだ?」


教室内を見回してそう聞いて来た。


「まだみたい。来るかどうかもわからないよ」


前髪はなくなってしまったし、あれじゃ恥ずかしくて来れないだろう。


そう思っていた時だった。


いつもと同じくらいの時間になった時、帽子を深くかぶったリカコが教室へ入って来たのだ。


リカコはいつも通り自分の席へまっすぐ歩いて行く。


その様子を見てあたしたち3人は目を見交わせた。


想像以上に図太い神経を持っているのかもしれない。


あたしは勢いよく椅子から立ち上がり、リカコへと近づいた。


「おはよぉリカコ! その帽子どうしたの?」


そう声をかけると、いつも通りビクついた態度を見せている。


そんなに怯えるなら学校を休めばいいのに。


あたしはリカコの耳元に顔を近づけて「昨日のこと、誰にも言ってないよね?」


と、囁いた。


リカコはガチガチに体を硬直させて、あたしを見つめる。


「言ってない」


震える声でそう返事をする。


本当だろうか?
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