友達イジメ
あたしはサチとスズに顔を向けた。


「たぶん、大丈夫だと思う。なにかバレてたらさすがに先生から連絡が来るだろうし」


スズがそう言うので、ひとまずは安心してもいいかもしれない。


リカコの悲鳴も、結局誰にも届いていなかったということだ。


心配して損をした気分だ。


「お前のせいで眠れなかっただろうが」


サチが小さな声でそう言い、リカコの机を軽く蹴った。


今日一番苛立っているのはサチみたいだ。


「あ、あたしは何もしてない!」


「黙れ!」


そう言うと同時にサチはリカコの帽子をはぎ取った。


瞬間、昨日バッサリと切った前髪が現れる。


「あはははは! この髪型ほんとヤバイんだけど!!」


普段隠していたニキビ顔は丸出しで、ブスが加速している。


それを見ているとやっぱり笑いが止まらなくなってしまう。


いつも遠巻きに見ているだけのクラスメートたちも、リカコの髪型をしてたまらず笑い出している。
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