友達イジメ
「あんたのせいで、ユウジに嫌われた!」


あたしはそう言い、ジーパンのポケットからカッターナイフを取り出した。


「なんのこと……?」


説明することもなく、サチとスズがリカコの体を羽交い絞めにしていた。


あたしはカッターの刃をリカコへと向けて、ジリジリと近づいて行く。


「ちょっと待って……! 本当になんのことかわからなくて!」


「黙れ!」


そう叫んだ次の瞬間、あたしはリカコの頬めがけてカッターナイフを振り下ろしていた。


強い弾力を感じ、その弾力を跳ね返すように力を込めた。


途端に手に感じていた弾力が失われて、ナイフが一気に皮膚に食い込んでいく。


そのままの勢いでカッターナイフを下へ引くとポタポタッと、赤い物が草の上に落下した。


顔を上げるとリカコの左頬には斜めに切り傷ができていた。


それはとても深い傷のようで、次から次へと血があふれ出して来る。


リカコは唖然とした表情であたしを見つめる。


まさか、本当に切られるとは思っていなかったのだろう。


だけどあたしの心の中にはまだ怒りが眠っていた。


リカコごときがあたしの邪魔をするなんて、許せないことだった。
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