友達イジメ
その時だった。


リカコが何もない空間へ視線を向けて「あっ」と、小さく口走ったのだ。


「なに? なにか見える?」


サチが興味津々で聞いている。


「小屋……が……」


リカコが震える声でそう言った。


リカコにはウサギ小屋の噂を教えていないから、嘘をついているとは思えなかった。


「本当に?」


念のためにそう聞くと、リカコはジッと一点を見つめたまま動かなかった。


「ちょっと、返事は?」


キツイ口調でそう聞いた時、不意にリカコが空中へ向けて手を伸ばし、足を一歩踏み出した。


その行動はまるで、空間の中にドアがありそれを開けて中に入るような動作だった。
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