友達イジメ
「あの噂は本当だったのかもね」


リカコの様子を見ながらスズがゴクリと唾を飲み込んでそう言った。


今度、小説の題材にでもするつもりかもしれない。


リカコは3歩ほど前に進み、そこで立ちどまった。


そして少し上を見上げてなにかブツブツと呟き始める。


なんて言ってるんだろう……?


そう思い、そっとリカコへ近づいた。


リカコの顔が見えた瞬間、息を飲む。


さっきまで閉じられていた右目をカッと見開き、そこからダラダラと血が流れ出していた。


しかしリカコはそれに気が付いていないかのように、「死にたい死にたい」と呟き続けている。


その異様な光景にあたしは数歩あとずさりをしてしまった。


リカコを見て恐ろしいと感じたのはこれが初めての経験だった。


それからリカコはなにもない空間へと両手を伸ばし、なにかを掴んだ。


両手でつかんだなにかを、自分の首へと移動させていく。
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