友達イジメ
「俺、なにか大切なことを忘れてる気がするんだ」


「は? 何言ってんの?」


「リカコの事故死に納得いかない」


その言葉にあたしたちは顔を見合わせた。


リカコイジメについてはみんな忘れているはずだ。


でも、ヨシキはリカコと仲がよかった。


それが関係して記憶が残っているのかもしれない。


まぁ、ヨシキ1人が覚えていたって、大多数が忘れているのだからなにも心配なさそうだけれど。


「そんなこと、あたしたちに言われてもねぇ?」


サチが首を傾げてそう言った。


「そうだよ。あたしたちに何の関係があるの?」


続けてスズがそう言うと、ヨシキは頭をかいて「そうだよなぁ」と、呟いた。


なにか引っかかることがあるけれど、それがなんなのかわからない様子だ。


そんなヨシキにあたしはほほ笑みかけた。


「リカコが亡くなって辛いのはよくわかるよ。あたしたちもリカコとは仲良しだったし」


「あぁ……」


「ヨシキはゆっくり休むといいよ」


「そうだな。そうするよ」


ヨシキは眉間にシワを寄せたまま、A組の教室を後にしたのだった。
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