Love Eater Ⅲ
そんな2人の失意など記録の再生である姿は知る由もなく、無情にも記録の再生を続けて響かせていき。
『そんな人でないとこの子の心は修復出来ないでしょう』
二人にとって残酷な結論を告げるのだ。
そして、現状を捉えることない花鳥の姿は更に二人を苦悩させる言葉を綴りだす。
『それに私もね、曲がりなりにもこの子の母親みたい。私もこの子を本当に愛してくれる子でないと認めたくない。だから、試しておきたいの。本当にこの子を解って想ってくれている人なのか』
「試…す?」
ただでさえ希望なんて見出せない状況であるのに、この後に及んでまだ何を?
時雨だけではなくそれは百夜も思った事。
ここまで来ると、花鳥の綴る言葉は二人を断罪する残酷な響きににも聞こえてくる。
まるで、元凶であった二人への罰のように。
それであるのに、捉える花鳥の姿は二人の失意に反してどこか希望を見出しながら微笑み、六花を慈しむようにその身を自身で抱きしめるのだ。
『私は……この子の心の欠片を一つある所へ隠す事にしたの。それが無いとこの子の心は完全に修復せず目醒める事はない。永遠に、』
なんて無理難題であるのか。
難題過ぎて、決して叶わぬものだとこの時点で百夜も時雨も分かり切ってしまっている。