Love Eater Ⅲ
絶対に言われるほどの罪やら責任はない気がすると思いつつもだ、魔王の気迫勢いにはソルトも完全に押されてしまい、
「せ、責任?えっと……どんな……」
そんな問い返しをするや否やだ。
「っ……」
スッとソルトの顔面に突き付けられたのは銃口。
いつの間に盗られていたのか、魔王が握るのはソルトの愛用している拳銃である。
当然、そんな展開に六花も俊敏に反応しかけたのだが、六花が動くより早く銃を握る手は降ろされており。
ソルトの拳銃はくるりと魔王の指先で遊ばれた後に掌に静かに収まっていくのだ。
そうして何やらソルトの銃に弾らしきものを装填しながら、
「……殺してこい」
そんな要求を告げてくる。
当然ソルトにとっては予想外の要求。
一瞬はまた勢いからの物騒な発言かとも思ったのだが、そのささやかな期待は装填した銃を投げ渡された瞬間に打ち砕かれた。
そうして、鋭い眼が逃がさぬようにソルトを射抜き再び命令を下すのだ。
「時雨という男を殺してこい」