Love Eater Ⅲ


バケモノだなんてとんでもない。

星降る夜の下で微笑む姿はまるで女神か妖精のようにも感じられるのだ。

「さあ、…私と一緒に生きましょう。もっと色々な物を見て、知って、貪欲になるのよ時雨」

「………ねえ、…教えて」

「あら、早速疑問を持って口にするなんてとても良い子だわ。…なぁに?」

「…おま……あなたの…名前」

「あらあら、私とした事が。…私は時音…」

「ときね?」

「……ううん。…本当の名前は夜音。…あなたはそう呼んで?」

「夜音…」





その名が真名だとか隠し名だと知るのは後の話。

重要なのは、

その夜に僕の生きる理由がはっきりと決まったということ。


夜音こそが僕の世界で、生きる理由で、…全て。







その記憶が幸せに満ちている程、今の心を苦く痛く蝕み壊していく。

いっそ……一思いに壊れられたらどんなに楽だろうか。



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