Love Eater Ⅲ
沈黙ののちに、
『私も、この子も、あなたの求める夜音にはなってあげられないわ。私達は私達で夜音ではない』
「………」
『だって、他の誰でもなく、あなた自身が私達を夜音として愛せないのだもの』
「…………」
『本物の彼女の魂でなければあなたの心の空虚は埋まらない、満たされない。それを誰よりもあなた自身がわかってしまっているもの』
「……本当、死んで尚僕の感情を煩わせる欠陥品ですね君は、」
どこまでも思い通りにならない女。
手に入らない女。
それでいて自分を受け止め更には愛情を見せてくれる女。
死して尚。
だから、
「だから、あなたが嫌いですよ。僕の思い通りにならず、なのに求めてはいない愛情で僕を翻弄しようとしてくる。……実に魔女彼女らしい」
まるで夜音とは違うのにその性質はどうしてか類似する。
なんて儘ならぬもので、噛み合わぬもので。
なんて拗れた愛情関係なのだろう。
そんな時雨の複雑な心中を悟っているように花鳥は困ったように微笑み、
『貴方が私をどう思っていようと、私は貴方を愛してるわ、造物主様』
そんな愛情を弾くのだ。
『願わくば、どうか時雨が夜音の魂に出会えますように』
時雨の想いの成就を願いながら。